コンペが失敗する理由:評価基準が曖昧
2026年 5月19日
Web制作やシステム開発のコンペで、「結局どこを選べばいいのか分からなくなった」という話はかなり多くあります。
最初は比較検討のために始めたはずなのに、提案書が並び、デザインが並び、機能一覧が並び、各社プレゼンが終わった頃には、逆に判断が難しくなっている。
そして最終的に、
- なんとなく印象が良かった
- 役員受けが良かった
- デザインが派手だった
- 価格が安かった
- 営業担当が感じ良かった
という理由で決まってしまうケースも少なくありません。
もちろん、それ自体が絶対悪というわけではありません。ただ、実務上かなり問題なのは、「何を評価すべきか」が曖昧なままコンペが進んでいることです。
特にWebサイトやDX系のプロジェクトでは、デザイン・UI・SEO・CMS・運用・営業導線・アクセシビリティ・保守性など、評価軸が複数存在します。そのため、評価基準を整理しないまま進めると、途中から「何が良い提案なのか」が見えなくなります。
つまり、コンペが失敗する原因は、“提案の質”だけではなく、“評価構造”にあることが多いのです。
「良い提案」の定義が、参加者ごとに違っている
コンペで最初に起きる問題がこれです。
同じ提案を見ても、営業部門、広報部門、情報システム部門、経営層では、評価ポイントがかなり違います。
例えば営業側は、
- 問い合わせにつながるか
- 導線が分かりやすいか
- 営業説明しやすいか
を見ています。
一方で広報側は、
- ブランドイメージ
- 世界観
- デザイン統一感
を重視するかもしれません。
さらに情報システム部門は、
- CMS保守性
- セキュリティ
- 運用負荷
- 権限管理
を見ています。
つまり、同じ「良い提案」という言葉でも、中身がバラバラです。
この状態でコンペを進めると、各部署がそれぞれ別の観点で点数を付け始めます。その結果、議論が噛み合わなくなります。
実際、「デザインは良いけど運用が不安」「機能は強いけどブランド感が弱い」「SEOは強そうだけどUIが古い」といった状態はかなり多いです。
つまり問題は、“提案が悪い”のではなく、“評価軸が統一されていない”ことにあります。
コンペでよく起きる「比較不能」状態
コンペが難しくなる理由の一つが、各社の提案粒度が揃わないことです。
例えば、ある会社は戦略提案中心、ある会社はデザイン中心、別の会社はCMSや機能説明中心ということがあります。
つまり、比較対象がズレている。
しかし発注側は、
- 全部ちゃんとしてそう
- 全部違うこと言っている
- どれが正しいか分からない
という状態になりやすい。
特にWeb制作では、提案会社ごとに得意領域がかなり違います。
- デザインが強い会社
- SEOが強い会社
- 開発が強い会社
- BtoB理解が強い会社
- ブランディングが強い会社
つまり、提案内容が違うのは自然です。
だからこそ必要なのが、「今回のコンペで何を最優先評価するか」の整理です。
「なんとなく良かった」で決まると、後でズレる
コンペでは、最終的に“印象”で決まることがあります。
もちろん、人間が判断する以上、印象は無視できません。
ただし危険なのは、「なぜその会社を選んだのか」が言語化されないまま進むことです。
例えば、
- プレゼンが上手かった
- 資料がきれいだった
- デザインが派手だった
- 役員受けが良かった
だけで決まると、制作フェーズに入ってからズレやすくなります。
なぜなら、「評価されたポイント」と「本当に必要だった成果」が一致していない可能性があるからです。
例えば、本来必要だったのがCV改善なのに、ブランド提案の強さで決まった場合、公開後に「問い合わせ増えてない」が起きることがあります。
逆に、運用改善が必要だったのに、デザイン競争になってしまうケースもあります。
つまり、コンペで重要なのは、“提案の派手さ”より、“目的との一致”です。
評価基準は「成果」から逆算する必要がある
コンペ設計で最初に必要なのは、「何を成功とするか」を決めることです。
例えば、
- 問い合わせ増加
- 採用強化
- ブランド刷新
- SEO改善
- 運用効率改善
- CMS刷新
などです。
ここが曖昧だと、評価基準も曖昧になります。
逆に、成果目標が整理されると、「何を見るべきか」が見えやすくなります。
例えばCV改善が主目的なら、
- UI設計
- 導線理解
- ユーザー理解
- フォーム改善
- 情報整理
などを見るべきです。
ブランド刷新が目的なら、世界観設計やメッセージ設計の比重が上がります。
つまり、評価基準は「制作物」ではなく、「達成したい成果」から逆算する必要があります。
コンペで本当に見るべきなのは「提案資料」だけではない
実務上、提案資料そのものより重要なことがあります。
それは、「どう考えている会社か」です。
例えば、
- 課題整理の深さ
- 質問の質
- 現場理解
- 運用理解
- BtoB理解
- 意思決定構造理解
などです。
なぜなら、Web制作やDX案件は、提案書だけで完結しないからです。
実際には、公開までの間に、
- 要件変更
- 社内調整
- 認識ズレ
- 追加要望
- 運用課題
がかなり発生します。
つまり、本当に重要なのは「きれいな提案資料」だけではなく、「一緒に整理できる相手か」です。
特にBtoB案件では、制作スキルだけでなく、“構造理解力”がかなり重要になります。
「提案依頼書」が曖昧だと、コンペも曖昧になる
ここはかなり見落とされがちです。
実は、コンペが迷走する原因は、提案会社側だけではありません。
発注側のRFP(提案依頼書)が曖昧なケースもかなり多いです。
例えば、
- 目的が抽象的
- 課題が整理されていない
- 優先順位が不明
- 現状分析が不足している
- 評価基準が書かれていない
状態です。
この場合、提案会社側も「どこに寄せるべきか」が見えません。
結果として、各社がそれぞれ違う方向の提案を始めます。
つまり、比較不能になります。
逆に、良いRFPは、提案内容を揃えやすくなります。
その結果、「どの会社が目的理解しているか」がかなり見えやすくなります。
まとめ
コンペが失敗する理由は、提案会社の問題だけではありません。
実際には、「何を評価すべきか」が曖昧なまま進むことが、大きな原因になっています。
特にWeb制作やDX案件では、評価軸が複数存在します。
デザインなのか。
CV改善なのか。
SEOなのか。
CMSなのか。
ブランドなのか。
ここを整理しないまま比較すると、「なんとなく良かった」で決まりやすくなります。
そしてそのズレは、制作フェーズで表面化します。
だからこそ、コンペで最初に必要なのは、“良い提案を集めること”ではなく、“何を成功とするかを整理すること”です。
レアテクトでは、単なる提案競争ではなく、RFP整理や評価軸整理を含めたプロジェクト設計を重視しています。
もしコンペで「どこを選べばいいか分からない」が起きている場合は、提案内容以前に、“評価基準そのもの”を見直す必要があるかもしれません。