“便利そう”なのに使われない機能:行動設計が抜けている典型パターン
2026年 1月30日
プロダクトに実装した機能が一見「便利そう」「価値あるはず」と評価されながら、実際の利用につながらないケースはよくあります。この現象は単なる見た目の良さや機能の多さではなく、ユーザーの行動設計が欠けていることが本質です。本稿では、なぜ機能が使われないのかを行動設計の観点で整理し、実務で使える改善アプローチを解説します。
“便利”と“行動”が乖離する典型パターン
機能が使われない背後には、ユーザーが実際に行動を起こすための心理的・設計的な条件が欠けていることがあります。以下は典型的なパターンです。
- 損失回避で使わない
ある機能が価値を生むとしても、利用前の設定や操作の“コスト”が高いと、ユーザーは損失と感じてしまいます。プロスペクト理論では、得る利益よりも失う損失を避ける傾向が強く、これが利用阻害要因になります。必要な導入手順が複雑だと損失側の心理が働き、機能は敬遠されがちです。 - 認知負荷が高く使いにくい
利用までのステップが多い、分かりにくい導線になっていると、ユーザーは「どこから使えばいいかわからない」と認知負荷を感じて離脱します。その結果、どれだけ有用でも使われないという状態になります。 - 機能位置・視認性が低い
UIの視線誘導が不十分で、機能自体がユーザーの注意範囲に入っていないケースです。視覚的アクセントや適切なグルーピングが無いと、実際の利用動作に結びつきません。 - ユーザーコンテキストに合っていない
ユーザーの状況や目的と機能が一致していないと、利用機会が発生しません。単に追加しただけでは利用コンテキストが構築されず、結果として機能は放置されます。
行動設計の基本: 利用につながる設計とは
行動設計は、ユーザーがある行動に至る心理的・物理的なハードルを下げ、導線を最適化するプロセスです。行動設計の観点から見た改善ポイントを整理します。
- シンプルな導線設計
ユーザーが最小ステップで機能にアクセスできる導線を設計します。初回利用の障壁を下げるため、不要な設定や選択を排し、直観的なフローにすることが重要です。 - 利用誘導のタイミング
機能の利用は状況・タイミングに大きく左右されます。ユーザーの行動パターンやコンテキストを分析し、利用機会が高いタイミングで提示することが効果的です。 - フィードバック設計
利用直後、ユーザーが価値を実感できるフィードバックを返すことが継続利用を促します。成功体験を積ませることで行動は強化されます。 - 視認性と誘目性
視覚的プライオリティを高め、ユーザーの注意を自然に誘導するUI/UX設計が必要です。情報が多すぎたり、視線誘導が崩れたりすると利用率は低下します。
実務で使える改善ステップ
行動設計を機能改善のプロセスに組み込むための具体的なステップです。
- 現状の利用データ分析
行動ログや利用頻度を分析し、「どこで離脱しているか」「どのステップでつまずいているか」を可視化します。 - ユーザーインタビュー
実際のユーザーに利用意図と阻害要因を聞き、動作の背後にある心理を深掘りします。観察により、表面的な意見ではなく行動の根拠を把握します。 - 最低限の導線でプロトタイプを作成
最小のステップで機能にたどり着けるプロトタイプを用意し、ユーザビリティテストを実施します。検証を通じて導線とフィードバックの妥当性を確認します。 - 反復改善
テスト結果をもとに設計を反復し、ユーザーの行動変容がどの程度引き起こされたかを評価します。
まとめ(実務アクション)
“便利そう”な機能を実際に使わせるには、行動設計の視点が不可欠です。次のアクションを実践してください。
- ユーザーの行動データを分析し、導線の離脱ポイントを特定する
- 最小ステップで機能にアクセスできる導線を設計する
- コンテキストに応じた利用タイミングを計画する
- 利用時に価値を実感できるフィードバックを設計する
- ユーザビリティテストで改善ポイントを検証する