サイトの“情報を整理しきれない”問題はなぜ起きる?IA視点で解説

2026年 1月22日

サイト運用が進むほど「情報が増えすぎて整理できない」「メニューが肥大化してユーザーが迷う」「ページはあるのに見つからない」という状態が発生します。結論から言うと、この問題は“情報量の多さ”が原因ではありません。情報を増やす意思決定と、情報を構造化して維持する仕組みが分離していることが根本原因です。情報アーキテクチャ(IA)の視点で、なぜ整理できなくなるのか、そして実務での直し方を解説します。

“情報を整理しきれない”が起きる根本原因

IAは、コンテンツを「組織化・ラベリング・ナビゲーション・検索」で見つけやすくする設計領域です。整理できない状態は、設計の失敗というより「運用と構造の不整合」が蓄積して起きます。代表的な原因は次の通りです。

  • 意思決定の単位が“ページ追加”になっている

    新規施策や新商品が出るたびにページを追加し、全体構造の更新は後回しになると、サイト全体がパッチワーク化します。ページ単体は良くても、全体の分類体系が壊れていきます。

  • 組織の都合で分類してしまう

    部署別・事業部別のカテゴリは管理しやすい一方、ユーザーの目的や課題の整理とズレやすくなります。結果として「どこに何があるか」が利用者の頭の中で再構成できず、迷路化します。

  • 分類のルールが暗黙知で、合意がない

    同じ種類の情報でも、担当者ごとに置き場所や命名が変わると、サイト内で一貫性が崩れます。一貫性の崩壊は、ナビゲーションの理解コストを上げ、探索効率を落とします。

  • ラベルが“社内用語”になっている

    メニューや見出しが社内の呼称で統一されると、ユーザーの言葉と一致しないため、情報があっても見つかりません。ラベルは短さよりも「誤解しない明確さ」が重要です。

  • 検索に頼りすぎて、構造の整備が止まる

    検索は有効ですが、検索結果に出すためにもメタデータやページの粒度・分類が必要です。検索を言い訳にIAを放置すると、検索精度も落ちていきます。

  • コンテンツの寿命と優先度が管理されていない

    古い情報が残り続けると、似た情報が重複し、正しい導線が分からなくなります。更新頻度・責任者・改定条件が決まっていないサイトほど、整理不能になりやすい傾向があります。

IAで整理できる状態に戻す実務アプローチ

整理のためにメニューをいじるだけでは再発します。IAの実務は「構造を作る」より「構造を維持できる前提を作る」ことが重要です。以下の手順で、再現性のある整理に変えていきます。

  • コンテンツ棚卸しで“増え方”を可視化する

    ページ数や種類だけでなく、目的・対象者・購入フェーズ・更新日・責任部署を並べ、重複・孤立・古い情報を見える化します。整理が必要な理由を、主観ではなく一覧で共有できる状態にします。

  • ユーザーの目的で分類軸を決める

    商品名や部署名ではなく、ユーザーが達成したい目的で分類の第一階層を設計します。BtoBであれば「課題」「用途」「業界」「導入ステップ」などが軸になりやすく、検索意図と整合しやすくなります。

  • コンテンツモデルを定義して“粒度”を揃える

    似たページが乱立する原因は粒度のバラつきです。ページタイプごとに、含める要素、含めない要素、見出し構造、リンク先を定義し、量産できる型を作ります。

  • ラベリングガイドを作り、命名の揺れを止める

    メニュー・カテゴリ・ページタイトル・見出しの命名ルールを定義します。略語の禁止、対象者の明示、比較語の扱い、専門用語の併記などを決め、運用で揺れない状態にします。

  • ナビゲーションは“全体最適”で設計し、増設ルールを作る

    グローバルメニューに何を置くかだけでなく、追加する条件と上限を決めます。新カテゴリを増やす前に統合や再編を検討するゲートを作ると、肥大化が止まります。

  • カードソートとツリーテストで構造の妥当性を検証する

    社内の納得ではなく、ユーザーの分類感覚と探索成功率で判断します。カードソートで分類の候補を作り、ツリーテストでメニュー構造の到達性を評価すると、構造改善が“合意形成ゲーム”になりにくくなります。

  • ガバナンスを設計して“整理が続く状態”にする

    ページのオーナー、更新期限、廃止判断、メニュー追加フロー、レビュー頻度を決めます。人が変わっても崩れない状態を作ることが、IAの実装です。

まとめ(実務アクション)

サイトの情報整理が破綻する原因は、情報量ではなく「増える仕組みだけがあり、構造を更新する仕組みがない」ことです。IAの観点で、次のアクションから着手してください。

  • ページ単位の議論を止め、棚卸しで全体の重複・孤立・老朽化を一覧化する
  • 部署別の分類を疑い、ユーザー目的の分類軸を第一階層に据える
  • コンテンツモデルとラベリングガイドを作り、粒度と命名の揺れを止める
  • ナビゲーションの増設ルールを決め、肥大化を制度で抑える
  • カードソートとツリーテストで、構造をユーザー根拠で検証する
  • 更新期限・責任者・廃止判断を含むガバナンスを設計し、再発を止める

情報整理の詰まりは、サイト改善のボトルネックになりやすい領域です。IAで“整理できる状態”を作ると、SEO・導線・CVRの改善が同時に進みやすくなります。

参考リンク

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