定性インタビューで「本音」が出ない理由と、引き出す質問の作り方
2025年12月31日
定性インタビューは、ユーザーの体験・背景・感情を深く理解し、本質的なインサイトを得るための手法です。しかし実務では、「表面的な回答しか得られない」「本音に踏み込めない」という悩みが多くあります。本記事では、なぜ本音が出ないのかという原因を論理的に整理し、実務で使える具体的な質問設計と進行のポイントを結論先行で解説します。
本音が出ない原因
インタビューで率直な意見が引き出せない背景には、質問設計・進行・関係構築の3つの要素が関係します。
- 質問が閉じすぎている:Yes/No や選択肢形式では深い思考が促せません。
- 内的安全性が不足している:話し手が本音を言っても安全だと感じられていない。
- 構造が単純すぎる:事前準備された質問の順序だけで終始し、思考の連鎖を引き出せていない。
- インタビュアーバイアス:誘導的な質問や先入観が透けてしまうと、回答者は「正解」を答えようとします。
特に質問の質が低いと、回答者は自分の体験や感情を言語化できず、一般的な意見や思いつき回答に終始しがちです。
本音を引き出す質問設計の基本
本音を引き出すには、設問自体を「回答者の思考を拡張する方向」に設計する必要があります。そのために押さえるべきポイントを解説します。
- オープンエンド設問を主体にする:選択肢を与えず、自由に説明を促す質問を中心に構成します。例:「どのような経緯でそう感じましたか?」といった自由記述的な聞き方が有効です。
- 簡潔かつ日常語で質問する:専門用語や抽象語を避け、理解しやすい言葉で聞くことで回答の質が上がります。
- 深掘り用のプローブを用意する:「その時どう感じましたか?」、「具体的な例を教えてください」など、掘り下げのための追加質問を計画しておきます。
- 半構造化インタビューを採用する:基本の質問ガイドを用意しつつ、回答に応じて質問順や内容を柔軟に進めることで、思考や感情の深層へアクセスします。
こうした設計は、回答者が話しやすい環境を作るために不可欠です。固定的な質問だけでは、言葉を引き出すトリガーとして弱くなってしまいます。
インタビューガイドの具体例と組み立て方
インタビューガイドは、導入→経験の詳細→価値観・感情→まとめ、という流れで設計します。
- 導入パート:簡単な背景情報、普段の行動や体験を聞き、ラポールを形成します。
- 経験の詳細:特定の体験について「何が起きたか」「どう感じたか」を具体的に語ってもらいます。
- 価値観・感情:その体験が本人にとってなぜ重要だったのか、価値基準や判断軸を探る質問を行います。
- まとめ:インタビュー全体を振り返り、核心的な気づきを言語化してもらいます。
質問の順序は、回答者の思考負荷を考えて設計します。初めから深い質問を投げるのではなく、徐々に核心に迫る流れにすることで回答が出やすくなります。
インタビュー進行中のテクニック
質問設計だけでなく、進行中の態度や実践テクニックも本音を引き出す上で重要です。
- 積極的傾聴:相手の言葉を繰り返したり要約したりして、自分の理解を確認します。
- 中立的な姿勢:評価・批判を避け、回答者が自由に話せる雰囲気を保ちます。
- 沈黙の活用:回答者が考えを整理する時間を与えるために、意図的な沈黙も有効です。
これらの態度は、回答者が心を開く信頼関係を築き、率直な意見を話してもらうための環境づくりに直結します。
まとめ(実務アクション)
本音が出ない定性インタビューには、質問設計・進行・関係構築の3つの改善ポイントがあります。実務では以下の手順を取り入れてください。
- オープンエンド中心のインタビューガイドを設計する。
- プローブ(深掘り質問)を用意し、臨機応変に使う。
- 傾聴と中立性を意識した進行を行う。
- 回答者が話しやすい流れ(導入→体験→価値観)を意識して設計する。
これらを実践することで、表面的な回答ではなく、ユーザーの思考や感情が反映された本音を引き出し、UX / サイト改善の質を高めることができます。