“よく読まれるのにCVしない”ページは何が起きている?行動ログの読み解き方
2025年12月28日
PVや滞在時間は悪くないのに、肝心の問い合わせや資料請求にほとんどつながらない──BtoBサイトの運用現場で非常によくある悩みです。この状況を「なんとなく相性が悪いページ」と片付けてしまうと、改善の打ち手がふわっとしたまま終わってしまいます。本記事では、行動ログ(GA4など)を軸に、「よく読まれるのにCVしないページ」で実際に何が起きているのかを構造的に読み解く視点と、そこから導ける改善アクションを整理します。
なぜ“よく読まれるのにCVしない”のか:3つの典型パターン
まずは「よく読まれるのにCVしない」状態を、次の3パターンに分解して考えます。いきなりUIの細部を見るのではなく、ページの役割とトラフィックの質から切り分けることがポイントです。
- パターン1:トラフィックの質が合っていない – 検索キーワードや流入チャネルが「まだ情報収集中のユーザー」や「テーマは近いがニーズが違うユーザー」を大量に連れてきているケース。読みはするが、そもそも今すぐCVする段階ではないため、CV率が伸びません。
- パターン2:ページの役割が“途中のハブ”になっている – そのページ自体でCVはしないが、別ページのCVを強くアシストしているケースです。最後のCVページだけを見ていると「このページはCVしていない」と誤解しがちです。
- パターン3:最後のひと押しで離脱している(体験の摩擦) – 内容には興味を持っているが、フォームやCTA周りのストレス・不安・手間によって、CV直前で離脱しているケースです。カート放棄やフォーム放棄に近い問題です。
行動ログでまず確認すべき基本指標
上記どのパターンに当てはまりそうかを見極めるために、まずはGA4などの行動ログで次の指標を確認します。ここでは「ページ単体」だけでなく、「セグメントごとの差」「前後の遷移」をセットで見るのがポイントです。
- ページ単位の基本指標 – ページビュー数、ユーザー数、平均エンゲージメント時間、エンゲージメント率、スクロール深度など。しっかり読まれているなら、エンゲージメント時間やスクロール完了率は高いはずです。
- 流入チャネル別・キーワード別の指標 – 自然検索、指名検索、広告、メール、SNSなどチャネルごとに同じページのCV率を比較します。特定チャネルだけ極端にCVが低い場合は「意図のズレ」を疑います。
- 新規ユーザーとリピーターの差 – BtoBでは、初回訪問ではCVせず、2回目以降でコンバージョンすることも多いです。新規のみを見ると「CVしないページ」に見えても、リピーターでは十分にCVしていることがあります。
- デバイス別の挙動 – PCではCVしているのに、スマホだけ極端にCVしない場合、フォームやCTAの配置・タップしづらさなどモバイルUIの問題である可能性が高くなります。
- イベントログ(マイクロコンバージョン) – CTAクリック、PDFダウンロード、動画再生など、ページ内の重要なアクションイベントを計測しているか確認します。「読むだけで何もしていない」のか、「CTAは押しているが途中で離脱している」のかを分けるために必須です。
パターン1:トラフィックの質が合っていない場合の読み解き
まず疑うべきは「このページに来ているユーザーが、そもそも今CVすべき段階なのか?」という点です。たとえば、汎用的な課題解説記事やニュース性の高いコンテンツは、広く読まれる一方で「今すぐサービス検討」ではないユーザーを多く集めがちです。
- チャネル別・キーワード別にCV率を比較する – 同じページでも、「指名検索」や「ブランド名+サービス名」からの流入はCV率が高く、「一般キーワード」からの流入は低い、といった差が出ることがよくあります。この場合、記事の問題ではなく、想定ターゲットが幅広すぎる可能性があります。
- 情報収集ユーザー向けの“次の一歩”を用意する – すぐにCVする段階でないユーザーには、「関連する事例記事」「テーマをもう一段深掘りした資料」など、心理的ハードルの低いアクションを用意します。いきなり「お問い合わせ」だけを置くと、クリックされずに終わりがちです。
- 記事テーマとサービス価値の接続を明示する – 記事の最後に、「この課題を解決するために、当社では〇〇というサービスを提供している」ことを明確に書き、サービスページや事例への動線を設計します。読まれているのにCVしない記事は、しばしば「学びで終わってしまう」構成になっています。
パターン2:ページが“アシストコンバージョン”を担っている場合の読み解き
次に、「ページ単体のラストクリックCV率」だけで評価していないかを確認します。実は、よく読まれるコンテンツが「CVページへの主な入口」になっていることも少なくありません。この場合、ページ自体のCV率は低くても、全体の売上やリード創出には大きく貢献しています。
- コンバージョンパスレポートで前後のページを見る – GA4 のコンバージョンパス系のレポートを使うと、「CVの3ステップ前にどのページがよく見られているか」など、前後のタッチポイントを把握できます。「CVの多くが、必ずこのコラムを経由している」といったパターンが見えることがあります。
- アシストKPIを設定する – こうしたページは、「CV率」ではなく「CVにつながるページへの遷移率」「アシストCV数」を主要KPIにする方が健全です。コンテンツの役割を“教育・理解促進”と定義し、それにふさわしい指標で評価します。
- 役割に合ったCTA設計に変える – いきなり「お問い合わせ」ではなく、「関連事例を見る」「料金・プランを見る」「具体的な機能ページへ進む」といった“次の一歩”を強化します。ユーザーの検討段階に合わせて、段階的に深いページへ誘導するイメージです。
パターン3:最後のひと押しで離脱している場合の読み解き
内容も読まれ、CTAもクリックされているのにCVしない場合は、「フォームやチェックアウトの体験」に問題がある可能性が高いです。ECでのカート放棄率が平均で約70%とされるように、多くのユーザーは最後のステップで離脱します。BtoBでも、フォームの面倒さや不安が同様の離脱を生みます。
- フォーム到達数と送信完了数を別イベントで計測する – 「フォームページ閲覧」「1項目目入力」「送信完了」など、途中のステップをイベントとして計測すると、どの段階で離脱しているかが明確になります。
- 入力項目の数と内容を棚卸しする – 必須項目が多すぎたり、今の検討段階では答えづらい情報(予算上限、導入予定時期の厳密な指定など)を求めていると、離脱を招きます。「今すぐ必要でない項目は、商談以降に聞く」と割り切ることも重要です。
- 安心材料の欠如をチェックする – 個人情報の取り扱い、送信後のフロー、返信までの目安などが書かれていないと、「本当に送って大丈夫か?」という不安から送信をためらうユーザーもいます。フォーム周辺にFAQやプライバシーポリシーへの明確な導線を設置します。
- スマホでの操作性を確認する – 小さいボタン、入力欄のズレ、自動スクロールの不具合など、PC画面では気づきにくい摩擦がスマホで発生していることもよくあります。実機でフォーム送信までの一連の操作をテストすることが有効です。
行動ログから見立てを立てる4ステップ
ここまでの考え方を、実務での分析ステップとして整理すると次の4ステップになります。「なんとなく読み解く」のではなく、順番を決めて見ることで、チームでの共通理解も得やすくなります。
- ステップ1:ページの役割を定義する – 「このページは直接CVさせるのか」「検討を深めるコンテンツか」「別ページへの導線ハブなのか」を決めます。役割が曖昧だと、どの指標で良し悪しを判断すべきかもぶれてしまいます。
- ステップ2:セグメント別に基本指標を比較する – チャネル、新規/リピーター、デバイス別などで、エンゲージメント時間やCV率を分解して見ます。極端に悪い組み合わせがあれば、まずそこから優先的に改善対象とします。
- ステップ3:マイクロコンバージョンとコンバージョンパスを見る – CTAクリックや資料DLなど「次の一歩」が踏まれているかと、CVまでの前後のページを合わせて確認します。「読まれているのに次の一歩がない」のか、「次の一歩までは行っているが、その先で落ちている」のかを分けます。
- ステップ4:定量+定性でボトルネック仮説を作る – 数字だけでは「なぜそうなっているか」は分かりにくいため、画面キャプチャを並べてヒューリスティック評価やユーザビリティテストを行い、「ここで迷っていそう」「ここが怖い・面倒そう」といった仮説をチームで共有します。
パターン別・実務で取り組みやすい改善例
最後に、実務で着手しやすい改善例を、先ほどの3パターンごとに整理します。いきなり大改修を狙うのではなく、「2〜3週間で出し分け・テストできる単位」に分解することをおすすめします。
- トラフィックの質が合っていない場合
- 検索キーワードごとに「記事とサービスの相性」を棚卸しし、合わないキーワードは広告配信を止める・タイトルを調整するなどの対応を検討する。
- 情報収集ユーザー向けに、いきなり問い合わせではなく「ホワイトペーパーDL」「チェックリスト」「関連事例」など、段階的なオファーを用意する。
- 記事末尾で、サービスの提供価値と記事内容を明示的に接続し、関連ページへの導線を強化する。
- ページがアシストコンバージョンを担っている場合
- CVパスの前後に頻出するページを可視化し、「このコラムを起点とするCV」がどのくらいあるかをチームで共有する。
- アシストCVを前提としたKPI(遷移先へのクリック率やアシスト回数)を定義し、「CVしていないから弱いページ」という評価を改める。
- CVページへの自然な導線(事例 → 料金 → お問い合わせ など)を再設計し、「読み終わったあとの迷い」をなくす。
- 最後のひと押しで離脱している場合
- フォームに到達したユーザー数と送信完了数の差を把握し、どのステップで何%落ちているかを可視化する。
- 入力項目を「今本当に必要か」で仕分けし、必須項目を削減するミニマム版フォームを試す。
- スマホ実機でフォーム送信までの操作を録画し、タップしづらい、エラーが分かりづらいといった摩擦ポイントを洗い出す。
- 送信ボタン付近に「所要時間の目安」「入力内容の利用目的」「返信までの目安」を明記し、不安を軽減する。
まとめ(実務アクション)
「よく読まれるのにCVしない」ページは、単に「悪いページ」ではありません。トラフィックの質が合っていないのか、アシスト役を担っているのか、最後の体験に摩擦があるのか──行動ログを起点にパターンを切り分けることで、改善の優先順位と打ち手がクリアになります。
- まずページの役割を定義し、「何で評価するページなのか」をチームで共有する。
- GA4でチャネル・新規/リピーター・デバイス別に指標を分解し、「どこで・誰が」CVしていないのかを特定する。
- マイクロコンバージョンとコンバージョンパスを確認し、「読まれて終わっている」のか「途中で落ちている」のかを見極める。
- ヒューリスティック評価やユーザビリティテストと組み合わせて、フォームやCTA周りの摩擦を一つずつ潰していく。
数字だけを追いかけるのではなく、「このページでユーザーにどんな一歩を踏んでほしいのか」という意図と、実際の行動ログを照らし合わせることが、BtoBサイトのCV改善における第一歩です。