そのFAQ、本当に読まれてる?ユーザーが求める“質問の順番”の作り方

2025年12月24日

FAQページを用意しているのに、問い合わせ数が減らなかったり、ページの滞在時間が短かったりすることは多い。原因の一つは、「どの質問から読めばいいか」が分からない構造にある。質問の内容そのものよりも、「どの順番で並んでいるか」「どうグルーピングされているか」が、FAQの使いやすさを大きく左右する。

この記事では、BtoBサイトを中心に、FAQの“質問の順番”をどのように設計するとユーザーが迷わずに必要な情報にたどり着けるかを整理する。

FAQが読まれない典型パターン

FAQページが存在していても、実際には読まれていないケースでは、次のような構造上の問題が重なっていることが多い。

  • 質問が時系列や追記順で並んでいるだけで、ユーザー側の優先度と一致していない
  • 分野やテーマが混在しており、どこから読めば良いか分からない
  • 似た内容の質問が分散していて、同じような説明が何度も出てくる
  • 問い合わせの頻度が高い質問ほど、ページの後ろに追いやられている

Nielsen Norman GroupのFAQガイドラインでも、「ユーザーが最も知りたいことから順に並べる」「複数のテーマを扱う場合はカテゴリごとにチャンクする」といった基本原則が示されている。質問内容の精度に加えて、構造面の整理が欠かせない。

質問の順番を決めるために見るべきデータ

質問の並び順は、担当者の感覚だけで決めるのではなく、データと現場の声を組み合わせて決めると精度が上がる。具体的には、次のような情報を集めて整理すると良い。

  • 問い合わせ履歴の件数と内容(メール、チャット、電話)
  • サイト内検索キーワード(「よく検索されている語句」)
  • FAQページ内のクリック数やスクロール量などの行動ログ
  • 営業・カスタマーサポートが現場でよく聞かれる質問

この情報から、「頻度が高い質問」「ビジネス上のインパクトが大きい質問」「つまずきやすいステップに関する質問」を抜き出し、優先的に上位へ配置する。頻度だけでなく、問合せが来たときの影響度(契約前後、トラブル発生時など)もあわせて評価することが重要である。

ユーザーのプロセスに沿って並べ替える

BtoBサイトでは、ユーザーはバラバラにFAQを読むのではなく、「検討のプロセス」に沿って疑問が発生することが多い。たとえば、次のような流れで質問が生まれる。

  • 導入前:サービスの概要、対象、料金、必要な準備
  • 検討中:他サービスとの違い、比較のポイント、導入事例
  • 契約時:契約形態、支払い条件、契約期間、セキュリティ
  • 利用開始後:初期設定、運用ルール、トラブル対応、サポート窓口

このプロセスに合わせて、「導入前の疑問」「契約・運用に関する疑問」「トラブル・不具合に関する疑問」といった大枠でFAQを分け、その中で頻度や重要度が高い順に並べると、ユーザーは自分が今どの段階にいて、どこから読めばよいかを理解しやすくなる。

質問のグルーピングと順番づけの実務ステップ

実際にFAQの並び順を整える際は、次のようなステップで進めると整理しやすい。

  • 問い合わせ履歴と既存FAQを一覧にし、質問内容をラベリングする
  • ラベルごとにグループ化し、「カテゴリ名(導入前、料金、セキュリティなど)」を仮決めする
  • 各カテゴリの中で、頻度・重要度・業務インパクトをもとに優先順位を付ける
  • 上位の2〜3問を「代表的な質問」としてカテゴリの冒頭に配置する
  • 似た内容の質問は統合し、回答側の表現も可能な限り共通化する

この作業を一度行うだけでも、「どの順番で質問を読むべきか」が明確になり、FAQページ全体の見通しが良くなる。

よくある並べ方の誤解と避けたいパターン

現場でよく見かけるが、ユーザー視点では使いづらくなる並べ方もある。代表的な例を挙げる。

  • 社内の部署ごとに並べる(ユーザーは社内組織構造を知らないため、どのカテゴリを見ればよいか分かりづらい)
  • 社内ドキュメントの章立てをそのままFAQに持ち込む(マニュアルの構造は、ユーザーの疑問の順番と一致しないことが多い)
  • 公開時期が新しい順に並べる(ナレッジとしては新しいが、ユーザーの頻度・重要度の視点では最適とは限らない)

FAQは社内のためのメモではなく、ユーザーの判断を支援するためのコンテンツである。内部事情ではなく、ユーザーの行動や疑問の順番を優先して構造を決める必要がある。

「質問の順番」が問い合わせ削減とCVに効いてくる

FAQの質問の順番を整えることは、単にページを見やすくするだけではない。問い合わせが減るだけでなく、次のような副次的な効果も期待できる。

  • ユーザーが自己解決しやすくなり、サポート負荷が下がる
  • 営業担当が「どの質問から説明するか」を決めやすくなり、説明品質が安定する
  • FAQの構造がサービスのポジショニングや強みを整理する材料になる
  • 構造化された内容をもとに、検索結果でのFAQリッチリザルトやヘルプコンテンツ拡張へ展開しやすくなる

質問の内容を増やす前に、今ある質問の順番とグルーピングを見直すだけでも、ユーザーにとっての「使えるFAQ」に近づけることができる。

参考リンク

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