ユーザーが比較できていない?BtoBサイトに必要な“横断比較設計”とは
2025年12月23日
BtoBサイトでは、サービスや製品の情報はページ内にあるのに、ユーザーが「結局どれが自分に合うのか」が分からず離脱するケースが多い。これは情報不足ではなく、比較のための“構造”が欠けていることが原因である。比較ができない状態は、ユーザーが判断を保留し、競合に流れる要因になる。この記事では、横断比較を可能にする情報設計の実務ポイントを整理する。
比較ができない原因は「情報の欠落」ではなく「比較軸の不統一」
多くのBtoBサイトでは、サービス紹介ページ自体は丁寧に作られている。にもかかわらず、ユーザーが選べない理由は次のような構造的問題にある。
- 項目名・定義がページごとに異なる(例:「導入期間」と「開始までの流れ」など)
- 比較すべき軸が整理されていない(例:料金・機能・サポート・適用範囲)
- 数値や条件が定性的で比較できない
- 表現の粒度がページごとにズレている
ユーザーは、まず「項目を揃えて比較できる状態」を求めている。項目の粒度や順序が揃っていないと、比較作業自体が成立しない。これは NN/g が指摘する “Explicit Differences(選択肢間の明確な差分提示)” の欠如に該当する。
横断比較設計の基本:まず「比較する軸」を定義する
比較を成立させるためには、最初に「どの軸で比較するか」を明確にすることが重要である。よく使われる軸は次の通りだが、業種・商材ごとに適切な粒度へ調整する必要がある。
- 料金体系(固定費・従量課金・初期費用)
- 機能カテゴリ(基本機能・拡張機能・オプション)
- 導入条件(期間・前提環境・サポート範囲)
- 利用用途(向いているケース・不向きなケース)
- 保守・セキュリティ(更新頻度・監視・SLA)
軸は多すぎても混乱を生むため、最初の段階では「ユーザーの意思決定に必須な5〜7項目」に限定して整えることが望ましい。
比較テーブルは“項目の揺らぎ”を排除して作る
BtoBでよくある失敗は、テーブル形式を作っても項目がそろっていないことである。次の点を必ず抑える。
- 項目名は抽象化しすぎない(例:「柔軟性」ではなく「カスタマイズ可否」)
- 数値化できるものは必ず数値化する(例:導入期間:2週間、など)
- 比較できない情報はテーブルから除外する
- ページごとの粒度差を統一する
NN/g は “Comparison Tables” で、比較テーブルの最大の目的は「ユーザーの認知負荷を下げること」と繰り返し述べている。見た目を整えるのではなく、比較可能性そのものを担保することが本質である。
ユーザーが比較しやすくなる“差分の強調”という技法
横断比較を強く支えるのが「差分の明示」である。これは差を誇張するのではなく、何がどう違うのかを構造的に提示するという意味だ。具体的には次のような方法がある。
- 違いが出る項目だけをまとめた「差分ハイライト」欄を作る
- 各サービスの“適するケース/適さないケース”を明示する
- 比較軸ごとに「強み/弱み」を書き分ける
差分の明示は、ユーザーの「判断保留」を防ぎ、意思決定時間を短縮する効果がある。
BtoB比較で起きやすい“スラッジ”を取り除く
比較設計の最終段階では、ユーザーの決定を妨げる余計な作業(スラッジ)を排除する必要がある。NN/g が提唱するように、スラッジの原因は次のようなものだ。
- 比較ページと詳細ページを往復しなければ理解できない
- 専門用語が多く、違いが直感的に分からない
- 比較軸にない情報が混ざり、認知負荷が増える
これらを避けるためには、比較ページを「最終判断の起点」として設計し、余計な往復や追加調査を不要にすることが重要である。
まとめ:横断比較は“構造で決める”
BtoBサイトの比較設計は、情報量の多さではなく構造化の問題である。比較軸を統一し、差分を明確にし、スラッジを取り除くことで、ユーザーは自分に合う選択肢を迷わず判断できる。比較が成立するだけで、CVにつながる確率は大きく変わる。