スマホで戻るユーザーが多いのはなぜ?意外と知らない「前の画面」問題

2025年12月20日

スマホでWebサイトやアプリを利用していると、「戻る」操作が繰り返される場面がある。これは誤操作に見えることもあるが、多くの場合、ユーザーが現在地の理解に不安を感じたり、操作結果を確かめたいという心理が働いて起こる行動である。スマホ特有の画面構造や視覚的変化の大きさが、この動きをさらに増幅することがある。

ユーザーは「ひとつ前の状態に戻る」ことを期待している

戻る操作の前提には、ユーザーが「前の状態に復帰したい」という予測モデルを持っている点がある。これは、長年のWeb利用によって定着した行動であり、安心感や制御感につながる基本的な操作だ。期待した状態に戻れないとき、ユーザーは混乱したり、次の行動を躊躇しやすくなる。この認知とシステム挙動のズレが、戻る行動の増加や離脱につながることがある。

視覚的変化が大きいと、別画面として認識されやすい

スマホでは、オーバーレイやモーダル、検索フィルターなどの部分的なUIでも、見た目が大きく変わるとユーザーは「新しい画面に遷移した」と認識しやすい。技術的には同じページ上のUI変化であっても、視覚的に別ページに見えるものは「戻る」の対象になる。この認識の差異が、戻る操作を誘発する一因となっている。

画面サイズの制約により位置把握が難しくなる

スマホの画面は情報量が限られているため、ユーザーは自分の位置や状態を把握しにくい。スクロール量が増えたり、階層構造が深くなるほど、「今どこにいるのか分からない」という感覚が生まれやすい。この不安定さが、元に戻る行動を生みやすくする。特に一覧ページと詳細ページの往復や、フィルター画面の再確認など、状態確認のための戻る操作が多く観察される。

ブラウザの戻るとアプリ内戻るの不一致が混乱を生む

ブラウザの戻るは履歴に基づく動作であり、ユーザーが期待する「ひとつ前の状態」と一致しないことがある。例えば、フィルターを適用した後に戻ると、適用前の状態が復元されずユーザーが戸惑うといったケースが典型的である。アプリ内ナビゲーションでも、戻った結果が期待と異なると混乱や離脱につながりやすい。

戻る操作を減らすための実務的な改善ポイント

戻る動作そのものを制限するよりも、ユーザーが戻らなくても理解しやすい、次に進みやすい流れを作る方が効果的である。次の観点が実務でよく機能する。

  • 視覚的に大きく変化するUIには「閉じる」ボタンを明示する
  • 状態変化が起こる操作では、適用前後の差が分かりやすいUIを用意する
  • 階層を深くしすぎないように導線を整理する
  • 戻ったときの状態復元(入力内容やフィルター条件など)を徹底する

これらの改善により、「戻らないと分からない」状況を減らすことができ、ユーザーの理解負荷と離脱を抑えることができる。

ログ分析で見るべきポイント

戻る操作は単体では意味を読み取りにくいが、他のログと組み合わせることで原因が明確になる。

  • どの画面から戻りが多いか(構造の複雑さ)
  • 戻った後の行動(迷いか、探索か)
  • 往復回数(位置把握の難しさ)

こうしたデータを元に、特定領域のナビゲーション改善やUI簡素化を検討することで、戻る行動を自然と減らすことができる。

まとめ

スマホで戻るユーザーが多い背景には、ユーザーの予測モデルとUIの挙動のずれ、視覚的変化による誤認、画面情報量の制約、状態遷移の複雑さなど複数の要因がある。戻る操作を減らすには、ユーザーが「今どこにいるか」「次に何が起きるか」を自然に理解できる構造をつくることが重要である。

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