ワークショップ型UX設計:社内巻き込みを成功させるファシリテーション術
2025年12月16日
UX改善を成功させるためには、チームの巻き込みが欠かせません。特にBtoBサイトや既存サービスの刷新では、関係者が多く、利害も異なるため、「会議では決まらない」「議論が散らかる」といった状況が起きがちです。
そこで有効なのが、ワークショップ型のUX設計です。関係者を同じ場に集め、課題認識から改善案までを短時間で共有することで、意思決定のスピードが格段に上がります。
この記事では、ワークショップを成功させるためのファシリテーション術を、実務に使える形で解説します。
1. ワークショップが失敗する最大の原因は「目的の曖昧さ」
UXワークショップで最も多い失敗は、「何を決める場なのか」が曖昧なまま始まるケースです。
ワークショップは議論の場ではなく、“合意形成の場”です。したがって次の問いに答えられる準備が必要です。
- 何を決める場なのか?
- どの論点を扱うのか?
- 何を持ち帰れれば成功なのか?
目的が曖昧だと、議論は散らかり、参加者の満足度も成果物も落ちます。
2. 最初にやるべきは「共通前提の揃え」
関係者が異なる背景を持っているため、まずは認識を揃える必要があります。これができれば、議論の70%は整理されたも同然です。
共通前提として揃えるべきポイント
- ユーザー像(行動ベース)
- 現状のデータ(離脱・流入構造・主要導線)
- ビジネス側が重視する指標(KPI)
これらを簡単な資料にまとめ、ワークショップ冒頭で共有するだけで、議論の軸が揃います。
3. 参加者に「自分ごと化」してもらう導入の仕掛け
UXワークショップでは、参加者が主体的に動く状態を作ることが重要です。そのための効果的な仕掛けが次の3つです。
① 現状画面を見ながら、個別に“気になる点”を書き出してもらう
先に個人でアウトプットを作ることで、会議の沈黙がなくなり、発言の偏りも抑えられます。
② 発言しやすい順番で当てる(役職順にしない)
上位者から発言すると、他の意見が出なくなるため、まず若手・利用頻度が高い人から発言してもらいます。
③ “具体的な行動”に焦点を当てる
抽象論ではなく「ユーザーがどんな行動をしたか?」を基準に議論を進めます。
4. ワークショップの核心は「論点整理」
良いワークショップは、論点の整理が圧倒的に上手いです。ここでは、UXリサーチの知見を活かした整理方法を紹介します。
論点の整理軸の例
- ユーザー行動のどこで詰まっているか
- 何が意思決定の障害になっているか
- どの導線が価値を生んでいないか
- どの改善が最も効果が大きいか
これらの軸でホワイトボードやオンラインボードに整理していくと、議論の全体像が一目で分かります。
5. 参加者の意見を「評価可能な形」に変換する技術
UXワークショップでは、抽象的な意見が出やすく、評価不能なまま終わることがあります。そこで重要なのが、意見を“評価できる表現”に変換することです。
変換の例
- ❌ 「見にくい」 → どの情報が優先度不明なのかを整理する
- ❌ 「使いにくい」 → どのステップで迷ったのかを特定する
- ❌ 「情報が不足している」 → 何を知りたいのかを明確にする
意見をこのように解像度の高い形に変換すると、改善案に直結します。
6. 最後に必ず「合意形成」を行う
ワークショップの価値は、議論ではなく決定にあります。
最後に次の3つが明確になっていれば成功です。
- 改善すべきポイントの優先順位
- 誰が、いつまでに、何をするか
- ユーザー価値にどうつながるか
これらをワークショップ終了後すぐに共有すると、組織として動きやすくなります。
まとめ
UXワークショップを成功させる鍵は、ファシリテーションにあります。
重要なのは以下の5点です。
- 目的の明確化
- 共通前提の揃え
- 参加者の自分ごと化
- 論点整理の技術
- 合意形成の明確化
これらを押さえることで、UX改善は組織の“個人戦”ではなく、“チーム戦”になります。ワークショップは、そのための強力なツールです。