「小規模でも回せるUXリサーチ体制」をどう作るか
2025年12月15日
UXリサーチの必要性は理解していても、実務では次のような悩みが頻出します。
- 「専任のUXリサーチャーがいない」
- 「時間も予算も限られている」
- 「毎回しっかりした調査はできない」
結論から言うと、UXリサーチは小規模でも“十分に回せます”。
必要なのは複雑な仕組みでも大人数でもなく、“継続できる最小限の仕組み”を作ることです。
この記事では、実務で本当に回る「小規模UXリサーチ体制」の作り方を解説します。
1. 小規模体制のUXリサーチは「3つの役割」が揃えば回る
大企業のように専門職を揃える必要はありません。以下の3つの役割が機能すれば、UXリサーチは成立します。
役割① 課題発見(行動データの観察)
GA4やヒートマップなど、既に存在するログを見る役割です。
専門知識は不要で、次のシンプルな問いを持てば十分です。
- どこで離脱が多い?
- どの導線が使われていない?
- どのセグメントが成果に寄与している?
役割② 仮説作成(UX視点での推測)
見つけた現象に対して「なぜ起きているか?」を考える役割。
UX専門家がいなくても、次の視点があれば十分です。
- 情報量が多すぎないか?
- 比較がしづらくないか?
- 次のステップが予測できるか?
役割③ 検証(定性調査で確認)
ユーザビリティテスト・簡易インタビュー・録画ツールの確認など、過度に準備しない“軽めの検証”を指します。
特に:
- ユーザーが迷ったポイント
- 詰まった操作
- 理解しづらい文言
この3点の観察だけでも十分なリサーチになります。
2. 小規模であれば「月1回のスプリント式」が最も回りやすい
大規模リサーチをしなくても、月に1回だけ以下の流れを回せばUXは改善され続けます。
【月1回のUXリサーチサイクル】
- 行動データの確認(1〜2時間)
離脱・滞留・コンバージョンの差異を確認。 - 仮説づくり(1時間)
原因候補を整理し、優先順位を決める。 - 簡易ユーザビリティテスト(2〜3時間)
社内2名・外部1名でも十分。 - 改善案作成(1〜2時間)
UI改善・導線改善・文言改善など。 - 翌月の冒頭で計測
改善結果をログで確認。
このサイクルは、人数が少なくても負担が少ないため、継続しやすいのが特徴です。
3. 小規模だからこそ「データの見方」を絞るべき
リサーチが止まる最大の理由は「データが多すぎる」ことにあります。
小規模体制では、次の3つだけ見ればほとんどの課題は発見できます。
① 行動フロー(GA4)
ユーザーがどの順でどこへ遷移しているか。
② 離脱ポイント
離脱率が高い=「迷った」だけでなく、「興味が途切れた」可能性がある。
③ セグメント別の違い
新規・リピート、広告・自然検索などでユーザー行動が変わる。
データを“深く”見るのではなく、“どのページに時間を使うべきかを決める”ために見るのがポイントです。
4. 小規模体制で最も強いのは「最低限の定性調査」を続けること
ユーザビリティテストは時間がかかるイメージがありますが、実際には少人数で高速に回せる方法があります。
できる限り軽量化したユーザビリティテスト
- 参加者は2〜3名で十分
- シナリオは1〜2問に絞る
- 録画はスマホでOK
- 観察ポイントは「迷い」「躊躇」「読み返し」だけに絞る
これだけで、多くのUX課題が発見できます。
5. 小規模体制での“よくある失敗”と回避方法
失敗① 調査を「大掛かりにやろう」として止まる
→ 月1回の軽量サイクルに分解する。
失敗② データを見すぎて動けなくなる
→ 見るデータは「フロー・離脱・セグメント」に絞る。
失敗③ 改善の優先順位が決まらない
→ 発生頻度 × 重要度 の2軸だけで決定する。
失敗④ 1人で全部抱え込む
→ 3つの役割(発見・仮説・検証)だけを分担する。
まとめ
UXリサーチは専門職が多く必要なイメージがありますが、実際には小規模でも十分に機能します。
重要なのは人数の多さではなく、「継続できる最小単位の仕組み」を作ること。
行動ログ → 仮説 → 軽量リサーチ → 改善 のループを回すだけで、UXの質は着実に上がり、サイト改善の成功率も高まります。