“滞在時間が長いページ=良いページ”ではない理由
2025年11月27日
GA4のレポートで滞在時間(平均エンゲージメント時間)が長いページを見ると、「ユーザーがしっかり読んでくれている」「このページは評価が高い」と判断しがちです。
しかし、実務では“滞在時間が長い=良いページ”とは限りません。むしろ、滞在時間が長いことで「問題が隠れている」ケースも多く存在します。
この記事では、RARE TEKTの上野がGA4改善支援で繰り返し遭遇してきた「滞在時間の罠」と、正しい読み方を解説します。
1. “迷っている時間”が長くても滞在時間は伸びる
滞在時間が長い理由は「じっくり読んでいる」だけではありません。
実務では、次のようなケースで“悪い理由”で滞在時間が長くなります。
- 重要情報が見つからず迷っている
- 比較対象が複雑で理解に時間がかかっている
- ページ内の情報が整理されていない
- 読まなくてよい情報が多すぎる
つまり、「理解しづらいページほど滞在時間が長くなる」という矛盾が普通に起こります。
“長いから良い”ではなく、“なぜ長いのか”を読み解く必要があります。
2. “情報の位置が悪い”場合も滞在時間が伸びる
ユーザーが欲しい情報にたどりつけないと、ページ内を何度も往復するため、滞在時間は自然に伸びます。
- 結論や価格が後半にある
- 導線が分散し、必要な情報を探しづらい
- スクロールが長すぎて迷子になる
これは「質が高いページ」ではなく、“情報設計が悪いページ”の典型です。
滞在時間が長い=満足している、ではありません。
3. BtoBでは“滞在時間が長い=浅い見込み客”のことも
BtoBや高額商材では、滞在時間が長いユーザーが“今すぐ客”とは限りません。
- 情報収集だけしている
- 他社比較がメインで、自社は候補外
- 担当者が資料の一部だけ確認している
深い検討ほど滞在時間が短いケースもあり、“深い行動の方が短時間で終わる”という逆転現象も起きます。
4. “離脱率”とセットで見ないと意味がない
滞在時間が長いページでも、次のような状態なら改善が必要です。
- 次ページ遷移率が低い
- 離脱率が高い
- CVへの導線が弱い
ユーザーが長時間ページにいるのに、次の行動に進まない場合、“検討が止まっている”可能性が高いです。
滞在時間は単体で評価せず、行動データと組み合わせて判断する必要があります。
5. “感情マップ”と突き合わせると理由が明確になる
滞在時間の「長さ」は、ユーザーの心理とセットで見ると原因が明確になります。
- ポジティブな長さ → じっくり検討・比較
- ネガティブな長さ → 理解しづらさ・迷い
感情マップを併用すると、滞在時間が長い理由が「良い長さなのか」「悪い長さなのか」が分かります。
6. GA4で滞在時間を正しく読むためのセット指標
滞在時間だけでは判断できないため、以下の指標も合わせて見ます。
- エンゲージメント率(質の入口)
- イベント到達率(どの行動まで進んだか)
- 次ページ遷移率(前進したか)
- ランディングページ別CVR(入口の質)
この4つを見ることで「良い滞在時間かどうか」がはっきり判断できます。
明日からできる実務アクション
- 滞在時間の“長さだけ”でページの良し悪しを判断しない
- 離脱率・遷移率とセットで評価する
- 滞在時間が長いページは“迷い”が発生していないか確認する
- 感情マップやヒートマップで理由を可視化する
- “長さ”ではなく“行動の前進”を基準に改善する
滞在時間は「ユーザーの行動」を表しているわけではありません。重要なのは、“どれだけ前に進んだか”であり、行動データと組み合わせた読み解きが不可欠です。