セッション数よりも“質”を見たいときに見るべき指標とは
2025年11月24日
アクセスレポートを見るとき、多くの担当者がまず確認するのが「セッション数」。しかし、実務の成果(CV・商談・問い合わせ)と連動しないことが多く、「アクセスは増えているのに成果が変わらない」という悩みが生まれます。
理由はシンプルで、セッション数は“量”の指標であり、成果に最も影響するのは“質”だからです。
この記事では、RARE TEKTの上野がGA4で実務的に重視している「流入の質を測る指標」を整理します。
1. エンゲージメント率:最初に見るべき“質の入口”
セッション数がどれだけ多くても、ユーザーがすぐ離脱していれば質は低いままです。GA4では「エンゲージメント率」が、そのまま質の第一指標になります。
エンゲージメント率は以下の条件で計測されます。
- 10秒以上画面がアクティブだった
- 2ページ以上閲覧した
- コンバージョンが発生した
つまり、“流入後に少しでも意味のある行動をしたか”が分かります。
エンゲージメント率が低い流入は、どれだけ増えても本質的な成果にはつながりません。
2. 平均エンゲージメント時間:関心の深さを見る指標
平均エンゲージメント時間(Average engagement time)は、ユーザーがどれだけ画面を「ちゃんと見ているか」を示します。
- 短い → 興味が薄い、ニーズとズレている可能性
- 長い → 情報をきちんと読んでいる、比較・検討している
セッション数が増えていても、平均エンゲージメント時間が短い場合は“浅い流入”が増えているだけで、成果向上にはつながりません。
3. ランディングページのCVR:流入の「入口の質」を測る
流入の質は「入口で判断する」のが最も正確です。特にランディングページ別CVRは、流入の質を判断する強力な指標です。
例えば:
- 検索流入 → コンテンツ経由はCVRが高い傾向
- 広告流入 → キャンペーンによって質の差が大きい
- SNS流入 → CTRは高いがCVRが低いことが多い
CVRが低い流入元は“量だけ増えている”状態で、質は低いままです。
4. 継続セッション率:良い流入の再訪傾向を見る
GA4では「セッション継続率」(再訪・継続)が確認できます。
質の高い流入 → 再訪率が高い 質の低い流入 → 一度きりで終わる
特にBtoBや高額商材では、再訪率がそのまま“見込み度の高さ”に直結します。
5. イベント単位の“到達率”:価値ある行動に近づけているか
セッションの量ではなく、「価値あるアクションに達した割合」を見ることで、流入の質が明確になります。
例えば:
- 資料請求ボタンのクリック
- 商品詳細の閲覧
- 比較表の閲覧
- スクロール完了率
これらの到達率が高い流入は、明確なニーズを持っている“質の高いユーザー”です。
6. チャネル × LP の行動比較:最も精度が高い質の判定方法
最終的に、流入の質を最も正確に見分ける方法は、次の掛け合わせです。
流入チャネル × ランディングページ
例えば:
- 検索流入 × 記事LP → 情報収集フェーズ
- 検索流入 × 商材LP → 意図の強いユーザー
- 広告流入 × 決定フェーズLP → CVしやすい
- SNS流入 × トップ → 質が低くなりやすい
この“入口構造”を見ることで、セッション数だけでは見えない質が浮かび上がります。
明日からできる“質を見るための実務チェック”
- ① エンゲージメント率が低い流入を切る(or 改善する)
- ② 平均エンゲージメント時間で「浅い流入」を判断する
- ③ ランディングページ別 CVR で入口の質を評価する
- ④ 再訪率で“見込み度の高いユーザー”を把握する
- ⑤ イベント到達率を見て価値ある行動までの距離を測る
- ⑥ 流入チャネル × LP を必ずセットで確認する
セッション数は“量”の指標です。成果に直結するのは、ユーザーがどれだけ深い行動をしているかという“質”の方です。
GA4の指標を見る順番を変えるだけで、分析の精度と施策の再現性が大きく向上します。