広告経由のCV率が高すぎる?数値が歪む3つのパターン
2025年11月22日
広告経由のCV率をチェックしていると、「なぜか広告だけ異常にCV率が高い」「検索流入よりも広告の方がCVが出る」という状況が発生することがあります。
一見ポジティブに見えますが、実務では「数値が正しく計測されていない(歪んでいる)」サインであるケースが多いです。
この記事では、RARE TEKTの上野が改善支援の現場で何度も遭遇してきた「広告のCV率が異常に高く見える3つの原因」を整理します。
1. “ラストクリック寄りの計測”で広告に成果が集まりやすい
GA4 ではデフォルトで データドリブンアトリビューション(DDA) が採用されていますが、レポートの種類やデータ量によっては、実質的にラストクリック寄り(=最後の非直接クリックを重視する)の評価が起きます。
そのため、次のようなケースで広告のCV率は跳ね上がります。
- ユーザーが最終ステップだけ広告経由で再訪する
- オーガニック検索・SNSなど別のチャネルで認知していたユーザーが、最後に広告を踏んだだけ
- 比較フェーズで広告リンクをクリックする行動が多い
つまり、広告自体が強いのではなく「最後に広告を踏んだ」と GA4 が解釈しているだけという状態が起きます。
2. “既存ユーザー”が広告をクリックしている
既存ユーザー(リピーター)が広告を踏むことで、CV率が異常に高く見えるケースも頻発します。
- ブランド名で検索した際に広告の方をクリックしてしまう
- ブックマーク代わりに広告枠を踏む
- 既存会員がログイン目的で広告を踏む
既存ユーザーはもともとCV率が高いため、広告が“極めて優秀”に見えてしまいます。しかし、これは広告による新規獲得ではありません。
3. タグの不整合などによる“計測のゆがみ”
実務では、最も危険なのがこのパターンです。
- 広告LPで CVイベントが二重発火している
- gclid(広告クリックID)が保持され続け、別流入でも広告扱いになる
- 遷移中にセッション分断が起き、広告側に成果が紐づきやすい
- 同じCVイベントを複数のタグで計測してしまっている
こうした“計測のゆがみ”が発生すると、広告経由のCV率が本来の2〜5倍に跳ね上がるケースがあります。
本当に広告が強いのかを確認するチェックポイント
- 新規ユーザーとリピーターでCVRを分けて確認する
- 指名検索広告のオン/オフで挙動を比較する
- 広告LPで CVイベントが重複発火していないかを確認する
- アトリビューションモデルを DDA と Last Click で比較する
- 広告以外のチャネルでユーザーが既に“温まっていない”かを確認する
数字だけを見ると広告の効果が強く見えますが、真実は「広告以外のチャネルが育てたユーザーの最終クリック」だったということが少なくありません。
明日からできる実務アクション
- 広告CVのうち“新規ユーザー割合”を必ずチェックする
- 計測の二重発火・セッション分断の可能性を点検する
- ブランド広告(指名系)は別チャネル扱いで評価する
- 広告の評価は「ラストクリック」だけで判断しない
広告CV率が“異常に高い”ときは、成果ではなく計測や構造の歪みが原因であることが多いです。GA4のアトリビューションの仕組みとタグ挙動を理解することで、正しい判断に近づけます。