GA4で「購入までの平均時間」を見るには?分析設計ステップ
2025年11月 9日
「ユーザーが初訪問から購入まで、どのくらいの期間を要しているのか」 これはマーケティング効率を把握する上で欠かせない指標です。 しかし、GA4にはUAのような「購入までの経過時間」レポートが標準では存在しません。 本記事では、GA4で購入までの平均時間を測定・分析する方法を、探索レポートを使った実務手順で解説します。
1. 「購入までの平均時間」とは何を指すか
ここで言う「購入までの平均時間」は、以下のいずれかを指します。
- ① 初回訪問から購入(コンバージョン)までの経過時間
- ② コンバージョンが発生するまでの平均セッション時間
GA4ではこの2つをそれぞれ異なる方法で確認できます。 ①は「経過時間」、②は「滞在時間」の分析として扱います。
2. 準備:購入イベントを明確に定義する
まずは「購入」をどのイベントでカウントするかを確認します。 代表的な設定例は以下の通りです。
purchase:ECサイトの購入完了イベント(自動収集/またはeコマース設定)generate_lead:問い合わせ・資料請求・トライアル申込などを成果とする場合custom_event:カスタムコンバージョン(例:cv_submit)を使用している場合
これらを「管理 > コンバージョン」で登録し、データが計測されていることを確認してから分析を始めます。
3. 方法① 探索レポートで「経過時間」を見る
GA4の「探索 > ファネルデータ探索」機能を使うと、 初回訪問から購入までの平均経過時間を分析できます。
- 「探索 > テンプレート > ファネルデータ探索」を選択。
- ステップを設定:
- ステップ1:session_start または first_visit
- ステップ2:purchase または指定コンバージョンイベント
- 設定パネル右側の「タイムラグ」オプションを有効にし、 「ステップ1→ステップ2の平均所要時間」を確認。
ファネル探索では、ステップ間の経過時間を自動で算出してくれます。 複数セッションをまたぐ購入行動も反映されるため、リードタイム分析に最適です。
4. 方法② 「ユーザー別滞在時間」で確認する
一方、単一セッション内での「購入に至るまでの平均滞在時間」を確認したい場合は、 「探索 > 自由形式」を使います。
- 「ディメンション」:ページタイトル、イベント名、またはユーザータイプ(新規/リピーター)
- 「指標」:
平均エンゲージメント時間とコンバージョン数 - 「フィルタ」:イベント名=
purchaseまたは指定イベント
この組み合わせで、「購入を行ったセッションの平均滞在時間」を把握できます。 ファネルと異なりセッション単位で集計されるため、CVセッションの質を見るのに有効です。
5. BigQueryを使うとより精密に分析できる
GA4とBigQueryを連携している場合、SQLで以下のような計算が可能です。
SELECT
user_pseudo_id,
TIMESTAMP_DIFF(
MAX(CASE WHEN event_name = 'purchase' THEN event_timestamp END),
MIN(event_timestamp),
SECOND
) / 3600 AS hours_to_purchase
FROM `project.dataset.events_*`
WHERE event_name IN ('session_start','purchase')
GROUP BY user_pseudo_id;
これにより、ユーザー単位で「購入までに要した平均時間(時間単位)」を抽出できます。 B2Bや高単価商品のように意思決定に時間がかかるケースでは、この指標が特に有効です。
6. 分析結果の読み取りポイント
- 平均時間が短い:衝動購買・指名検索が多い可能性。ブランド指名流入が強い。
- 平均時間が長い:検討期間が必要な商品(高額・比較系)。リマーケティング対象の再設計を検討。
- モバイルとPCで差がある:閲覧デバイス別にUXが異なる。フォーム最適化やページ分割を検討。
まとめ:時間軸の可視化でコンバージョン率の背景を理解する
GA4では、購入率だけでなく「購入までの時間」を見ることで、 ユーザー行動の質を定量的に理解できます。 ファネル探索で経過時間を把握し、自由形式レポートで滞在時間を比較することで、 コンバージョン改善の方向性が明確になります。