GA4で「LPの離脱率」を正しく見るための設定と落とし穴
2025年11月 8日
ランディングページ(LP)の評価で「離脱率」を見たいのに、UA時代の直帰率と混同してしまい正しく読めない――そんな相談が多くあります。本記事では、GA4の日本語UIに基づき、LPの離脱をどう定義し、どのレポートで、どう分析するのかを整理します。
前提整理:GA4の「直帰率」「エンゲージメント」「離脱」を区別する
- 直帰率(Bounce):エンゲージメントのないセッションの割合。すなわち
直帰率 = 1 − エンゲージメント率。UAの直帰定義とは異なります。 - エンゲージメント率:エンゲージメントのあるセッションの割合。デフォルト判定は「10秒以上滞在」「コンバージョンあり」「2ページ以上閲覧」のいずれか成立。しきい値はUIで調整可能です。
- 離脱(Exit):そのページでセッションが終了した事実。ページ単位の指標で、単純に「LPに着地して次に進まなかった割合」と同一ではありません。
LP評価で本当に見たいのは、「LPに着地したセッションのうち、次の行動へ進まずに終わった割合」です。これを安全に確認するには、ランディングページ ×(次行動の有無)を探索(ファネル)で設計します。
どこで確認するか:標準レポートと探索の使い分け
- 標準レポート:ランディングページ
レポート > エンゲージメント > ランディングページで、最初に閲覧されたページ別にセッション、直帰率/エンゲージメント率、コンバージョンなどを確認。まず該当LPを特定します。 - 探索:ファネルデータ探索(推奨)
探索 > ファネルデータ探索で、「LP表示 → 次の行動(次ページやボタンクリック等) → コンバージョン」とステップ化し、各ステップのドロップオフ(=離脱)を可視化します。これで「LPで終了」を明確に切り出せます。
実務ステップ:LPの「離脱」を数値化する手順
- LPを特定
レポート > エンゲージメント > ランディングページで対象LP(例:/lp-trial/)を確認。 - 探索でファネルを作成
探索 > ファネルデータ探索で、期間・セグメントを設定し、ステップを追加:- ステップ1:イベント =
page_viewかつ ページのパス =/lp-trial/(LP表示) - ステップ2:イベント =
page_viewかつ 前のページのパス =/lp-trial/(次ページ遷移) - ステップ3:コンバージョンイベント(例:
generate_lead)
この構成で、ステップ1での離脱=「LPで終了(=LPに着地したが次行動がなかった)」の割合を把握できます。外部遷移を“次行動”として扱う場合は、クリック(outbound)やフォーム送信などのイベントをステップ2に加えると過大計上を防げます。
- ステップ1:イベント =
- エンゲージメント判定の見直し(必要に応じて)
商品説明系など短尺LPでは、デフォルトの「10秒」判定が厳しすぎることがあります。管理 > データストリーム >(該当Webストリーム) > タグ設定 > セッションのタイムアウトを調整から、エンゲージメント セッションの時間をUIで調整できます。 - 「次へ進む行動」を計測できているか確認
LPのボタンクリック/フォーム遷移/外部送客が、拡張計測機能やカスタムイベントで取得できているかを点検。未計測だと、ファネル上の離脱が過大になります。
読み解き方:よくある勘違いを避ける
- 直帰率だけで良否を決めない
GA4の直帰率は「非エンゲージメント」の割合です。LP滞在が短くても、即時CVや外部予約サイト遷移があれば解釈は変わります。エンゲージメント率やファネルと併読します。 - 「出口=悪」とは限らない
LPが外部申込サイトへの誘導を目的とする場合、LPでセッションが終わること自体は想定行動です。クロスドメイン計測や外部クリック計測を構成し、目的行動が追えているかで判断を。 - セッション分割に注意
UTM付け替え、ドメインまたぎ設定不足、リダイレクト等でセッションが分割されると、LPの離脱が過大に見えます。計測設計の正しさが前提です。
改善の当てどころ:データから施策へ
- ファーストビューの再設計:エンゲージメント率が低いLPは、導入文・主要訴求・一次CTAの再配置を検討。
- CTAの段階設計:「LP→次ページ」での離脱が大きければ、LP内に補助CTA(例:「詳細を見る」「導入事例」)を設置。
- ページ速度と可読性:10秒未満の退出が多い場合、画像最適化・段落分割・余白設計を見直す。
- エンゲージメントのしきい値調整:LPの想定読了時間に応じて、UI上でエンゲージメント判定時間を見直す。
チェックリスト(LPの離脱分析 前提確認)
- レポート > エンゲージメント > ランディングページで対象LPが特定できている。
- LPからの次の行動(次ページ/クリック/送信)がイベント計測できている。
- 探索(ファネル)で「LP → 次の行動 → CV」の離脱率が可視化できている。
- エンゲージメントのしきい値(デフォルト10秒)が目的に適正。必要時は調整した。
- クロスドメインやUTM運用によりセッション分割が起きていない。
まとめ:LPは「直帰率」だけでなく「次の行動」で評価する
GA4では直帰率の定義がUAと異なるため、LPの成否を直帰率だけで判断すると誤読が生じます。ランディングページレポートで入口を特定し、探索(ファネル)で次の行動を見る――この二段構えが、LPの「離脱」を正しく捉える近道です。