GA4でスクロール率を分析する:イベントを数値化してUX改善へ
2025年11月 7日
ページの滞在時間は長いのに、CV(コンバージョン)に繋がらない。 そんなとき、ユーザーが「どこまで読んでいるか」を把握できると、改善のヒントが見えてきます。 本記事では、GA4でスクロール率を数値化し、UX改善に活かす方法を解説します。
1. スクロール率の把握は「ページ滞在の質」を測る指標
スクロール率とは、ユーザーがページの何%まで閲覧したかを示す指標です。 ページビューだけでは分からない「どの部分で離脱しているか」を可視化できます。
例: ・100%到達率が低い → コンテンツが長すぎる、または興味が続かない。
・50%で急に離脱 → 広告やリンク配置がストレス要因になっている可能性。
2. GA4では「scroll」イベントが自動収集される
GA4では、拡張計測機能が有効な場合、自動的に「scroll」イベントが記録されます。 初期設定のままで、ユーザーがページの90%地点まで到達したときにイベントが発火します。
- 有効化の確認:GA4管理画面 → 「データ収集」 → 「拡張計測機能」
- 「スクロールを計測」がオンになっていれば自動記録
- ただし、90%到達のみ。中間地点(25%・50%など)は自動では記録されない
3. 中間スクロール率を測定するにはカスタムイベントを設定
ページ中盤の離脱や注目エリアを分析するには、 Google タグマネージャーでカスタムイベントを設定します。
- タグマネージャーで「スクロール距離」トリガーを作成
- 閾値を設定:25%、50%、75%など
- イベント名を「scroll_depth」、パラメータを設定:
イベント名: scroll_depth パラメータ: scroll_percent: - GA4に送信し、「イベント」で受信を確認
これにより、ページ内のどの位置でユーザーが離脱しているかを定量的に把握できます。
4. スクロールデータを分析レポートで可視化
設定後、GA4の「探索 > 自由形式」でスクロールイベントを分析します。
- ディメンションに「scroll_percent」「ページタイトル」を追加
- 指標に「イベント数」または「ユーザー数」を設定
- 棒グラフやヒートマップで可視化
「50%で急減」「75%以上が少ない」などの傾向が見えた場合、 コンテンツ構成の見直しやCTA位置変更の判断材料になります。
5. スクロール率改善に直結するUXアクション
- ファーストビューを最適化:タイトルと導入で期待値を明確に。
- 段落を短く整理:長文は分割し、余白を増やす。
- 途中離脱ポイントを検証:50%地点のCTA配置をテスト。
- モバイル可読性:スクロール量が多いページではフォントサイズ・余白を最適化。
GA4のデータは「どこが悪いか」を数値で示してくれますが、 改善のカギはUI設計と情報構成にあります。
まとめ:スクロールデータは「読まれ方の地図」になる
スクロール率を追うことで、ページが「どこで読まれていないか」「どの要素で止まっているか」を明確にできます。 ページビューや平均滞在時間では見えない「体験の質」を改善する指標として、 スクロールイベントを活用しましょう。
- 自動収集(90%)+カスタム設定(25・50・75%)を組み合わせる
- 「探索レポート」で割合別に比較・可視化
- UX改善の根拠として、スクロール率をKPIに活用