GA4単体でも可能?イベント発火回数のユーザー分布分析法
2025年10月23日
「ボタンを何回押した人が多いのか?」「動画をどの程度まで再生したユーザーが多いのか?」 こうした “イベント回数の分布” を知りたいとき、以前のユニバーサル アナリティクス(UA)では簡単にできましたが、GA4では少し仕組みが異なります。 本記事では、GA4単体でどこまでユーザー分布を分析できるのかを整理し、実務での確認手順を紹介します。
GA4でできる「イベント発火回数の分布」分析とは
GA4ではイベントは「行動の単位」であり、回数やユーザー数を掛け合わせた分析が可能です。 ただし、UA時代のようなヒストグラム表示(例:「1回」「2〜5回」「6回以上」など)を自動で出す機能はありません。 代わりに、探索(Explore)レポートを活用して、イベント回数を条件分けして分布を可視化します。
分析の前提:イベント設計とパラメータの確認
- 対象となるイベント(例:
button_click、video_playなど)が正しく発火しているか、 「管理 > データの表示 > DebugView」で確認します。 - 特定ボタンなどを計測している場合、
event_nameと合わせてbutton_idやlink_textパラメータを送っておくと、 分布分析の精度が上がります。
方法①:探索レポートで「イベント回数別ユーザー数」を確認
- 探索 > 空白(自由形式) を開く。
- ディメンションに「ユーザーID」または「デバイスカテゴリ」を追加。
- 指標として「イベント数」を追加し、対象イベントをフィルタ(例:
event_name = button_click)。 - 表形式または棒グラフでイベント回数を並べる。
- 条件分けしたい場合は「イベント数」を軸にした セグメントを作成し、「1回」「2〜5回」「6回以上」などで比較可能。
これにより、「特定イベントを何回発生させたユーザーが多いか」を可視化できます。 データを外部ツールに出さなくても、GA4単体でおおまかな分布が把握可能です。
方法②:セグメントを活用して分布を明示化
探索レポートでセグメントを作成し、「イベント数の条件」で層を分ける方法です。
- セグメント > 新しい条件セグメントを作成。
- 「イベント数」指標でフィルタを設定(例:「イベント数 ≥ 5」)。
- このセグメントを複数作成し、
1回/2〜5回/6回以上などで比較。 - 各層のユーザー数・コンバージョン率を確認し、「行動量」と「成果」の関係を分析します。
この手法は、「繰り返し行動するユーザーほどコンバージョン率が高いか?」など、UXや施策評価にも活用できます。
GA4単体ではできないこと
- GA4標準レポートでは「ヒストグラム型の分布表示」はできません(※探索レポートで近似表現)。
- 「イベント回数の分位分析(パーセンタイル)」など高度な統計処理は外部BI(Looker StudioやBigQuery)連携が必要です。
- イベントの「セッションごとの平均回数」はカスタム指標定義が必要です。
つまり、GA4単体でも概況は把握できますが、正確な分布分析や傾向線を求める場合はLooker StudioやBigQueryの活用が望まれます。
実務でのチェックリスト
- イベントが正しく発火しているか(DebugView確認)。
- 探索レポートで「イベント数」を指標に追加できるか。
- セグメント条件で回数別に分けられるか。
- ユーザー数・CVRとの相関を比較できるか。
まとめ
GA4単体でも、「探索レポート+セグメント」を活用すればイベント回数のユーザー分布は分析可能です。 分析の目的が「大まかな傾向把握」であれば、外部連携は不要。 一方で、「分位」「中央値」「累積分布」などの詳細を求める場合は、BigQuery連携でのSQL分析が有効です。 まずはGA4の探索機能を使いこなし、手元で動かせる分析環境を整えましょう。