利用者テストから見えた“制作者が気づかない”落とし穴
2025年 9月26日
Webサイトやアプリの改善でよく行われるユーザビリティテスト。
実際に利用者に触ってもらうと、制作者が「問題ない」と思っていた部分で予想外のつまずきが発見されることは珍しくありません。
本記事では、利用者テストから見えてくる“制作者が気づきにくい落とし穴”を整理します。
1. 専門用語や略語の誤解
制作者にとって当たり前の言葉も、ユーザーには伝わらないことがあります。
- 例:「CVR」「セッション」などマーケ用語をそのまま表示
- 例:「マイページ」=自分のプロフィールと思う人もいれば、購入履歴と思う人もいる
ユーザーテストでは「意味がわからない」という声が出ることで初めて気づけるケースが多いです。
2. 視線誘導と配置のギャップ
制作者はレイアウトを熟知していますが、初めて訪れたユーザーは全く違う見方をします。
- 検索窓が右上にあっても気づかれない
- 重要ボタンがファーストビューにあってもスクロールされてから発見される
実際の視線や操作フローを観察することで、「置いてあるのに気づかれない」問題が浮き彫りになります。
3. 小さな操作負荷の積み重ね
制作者は慣れているため気にならない細かい操作が、ユーザーには大きなストレスとなります。
- 住所入力で都道府県がプルダウン形式しかなく、スクロールが大変
- 確認画面で再入力を求められる
- 閉じるボタンが小さく、タップしづらい
4. 文言やラベルのあいまいさ
制作者が「これで十分伝わる」と思ったラベルも、実際は誤解を生みます。
- 「こちら」リンクが複数あり、どこに飛ぶのかわからない
- 「次へ」ボタンが「送信」なのか「確認画面へ」なのか曖昧
5. 想定外の環境や使い方
制作者はPCの最新ブラウザで検証することが多いですが、実際の利用者は多様です。
- 古いスマホや低速回線で表示が遅い
- 横向き表示でレイアウトが崩れる
- 音声読み上げで重要な情報が飛ばされる
まとめ
ユーザーテストは、制作者の「想定どおりに動くだろう」という思い込みを打ち砕きます。
専門用語、視線誘導、細かな操作負荷、文言のあいまいさ、環境の違い―― これらは制作者が気づきにくい落とし穴です。
実際の利用者の声や操作を観察することで、初めて見えてくる改善点があります。
机上のテストではなく、必ず実ユーザーを交えた検証を取り入れることが、UX改善の最短ルートです。