ユーザーはスマホでどこに困っている?アクセシビリティ視点で解説
2025年 9月25日
Webサイトのアクセスの多くはスマホからですが、ユーザーがどこで困っているかを意識したデザインになっていないケースが少なくありません。
スマホ利用は画面が小さく操作環境も多様なため、アクセシビリティ上の課題が顕在化しやすいのです。
本記事では、ユーザーがスマホで直面しやすい困りごとをアクセシビリティ視点で整理し、改善の基本を解説します。
1. 文字が小さく読みにくい
最も多い課題はフォントサイズが小さすぎることです。 スマホではPCより視認距離が近いとはいえ、10〜12px相当では可読性が低下します。
- WCAG 2.1では「ズーム200%でも情報を失わない」ことを要求
- 実務上は16px以上を基準に設計すると安心
- 行間(1.5倍程度)も確保して可読性を高める
2. タップ領域が小さい
ボタンやリンクが小さすぎると、誤タップや操作困難につながります。
- WCAGでは44×44px以上のタップ領域を推奨
- アイコンボタンは余白(パディング)を広めに設定
- リンクをリスト形式にする場合は、1行全体をタップ領域にする
3. 色コントラストが不足している
屋外での利用や視力の違いを考慮すると、コントラスト不足は大きな障害になります。
- 文字と背景のコントラスト比は4.5:1以上(WCAG AA基準)
- リンクやボタンは色だけでなく形・アイコンで識別
- グラデーション背景の上にテキストを置く場合は特に注意
4. フォーム入力が負担
スマホでの文字入力はPCより手間がかかるため、フォーム設計が大きくUXに影響します。
- 入力項目は最小限に絞る
- 電話番号・メール欄では対応するキーボードを自動表示
- オートコンプリートや選択肢を活用して入力を減らす
5. 操作フローが複雑すぎる
小さい画面で複数ステップを踏むのはストレスになります。
- 重要な操作は2ステップ以内に収める
- モーダルやアコーディオンを多用しすぎない
- 戻る操作に対応しやすい設計を心がける
まとめ
スマホでのアクセシビリティ課題は、
「文字サイズ」「タップ領域」「コントラスト」「フォーム入力」「操作フロー」に集約されます。
これらを改善することは、色覚特性や高齢者ユーザーへの配慮だけでなく、すべてのユーザーにとって使いやすい体験を実現します。
スマホ中心の時代だからこそ、アクセシビリティ基準を土台にしたデザイン改善が欠かせません。