色覚多様性に配慮したデザインとは?事例とチェック方法

2025年 9月23日

Webデザインにおいて「色の使い方」は非常に重要です。
しかし、ユーザーの中には色覚多様性(色覚特性)を持つ人が一定数存在し、特定の色の組み合わせが見分けにくい場合があります。
日本人男性のおよそ5%(20人に1人)は色覚特性を持つとされており、配慮は必須です。
本記事では、色覚多様性に配慮したデザインの考え方と改善事例、さらに現場で使えるチェック方法を整理します。

色覚多様性に配慮しないと起きる問題

  • グラフやチャートが判別できない(例:赤と緑だけで区別した円グラフ)
  • リンクやボタンが見つけにくい(例:色だけでリンクを表現)
  • エラーメッセージが伝わらない(例:赤字のみで強調している)

改善のためのデザイン事例

1. 色と形・テキストを組み合わせる

  • グラフは色+パターン(斜線・ドット)で区別
  • エラーメッセージは赤色+アイコン+説明文で明示
  • リンクは色だけでなく下線やボタン形状で区別

2. コントラスト比を確保

背景色と文字色のコントラスト比はWCAG 2.1基準(4.5:1以上)を満たすことが望ましいです。
コントラスト不足は色覚特性に関係なく、多くのユーザーにとって可読性を下げます。

3. 色の組み合わせを工夫

特に避けたい組み合わせは「赤×緑」「青×紫」「緑×茶」など。
これらは色覚特性を持つ人にとって判別が難しくなります。

チェック方法とツール

実務では「実装後は開発者ツール」+「設計段階はデザインアプリのプラグイン」が基本です。必要に応じて専用ツールを補助的に使うと効率的です。

1. ブラウザ開発者ツール(実装後)

  • コントラスト比確認: DevToolsのAccessibilityパネルで前景/背景の比率を自動判定
  • 色覚シミュレーション: Chrome「Rendering」→「Emulate vision deficiencies」でProtanopia/Deuteranopia/Tritanopiaを再現
  • 用途: リリース前のQAや既存ページの改善チェックに最適

2. デザインアプリのプラグイン(設計段階)

  • Figma Color Contrast Checker: 選択中レイヤーの配色を即判定
  • Figma Able: 色覚シミュレーションを組み込み、赤/緑/青系の見分けやすさを確認
  • 用途: デザインレビュー時に早期に問題を発見し、実装後の手戻りを減らす

3. 補助ツール(必要に応じて)

  • Colour Contrast Analyser(CCA): スクリーンショットから直接色を拾って数値判定
  • WebAIM / Coolors: HEX指定でコントラストを手早く確認
  • Polypane: マルチデバイス+状態別UI(hover/focus/disabled)の横断チェックに便利

まとめ

色覚多様性に配慮したデザインは、特定ユーザーだけでなくすべてのユーザーの可読性と安心感を高めます。
改善の基本は「色だけに頼らない」「十分なコントラストを確保」「開発者ツールやプラグインでチェック」の3点です。
デザイン段階と実装段階それぞれで適切なツールを活用することで、手戻りを減らしながらUX全体を底上げできます。

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