スクロール計測の正しい設定と活用例
2025年 9月18日
Webサイトのユーザー行動を把握するうえで「どこまでスクロールされたか」を測ることはよくあります。
しかし、GA4でのスクロール計測は正しく設計しないと「設定したけど活用できない」状態になりがちです。
そこで本記事では、GA4でのスクロール計測の基本と課題を整理した上で、実務的に役立つ解決策としてMicrosoft Clarityの活用を紹介します。
GA4でのスクロール計測方法
GA4には標準で「90%までスクロールしたらイベント発火」(scroll)という計測(イベント)が含まれています。
しかし、このままでは情報が粗すぎて改善には使いにくいのが実情です。
- 「90%まで到達したか」しか分からない
- ページの長さに応じた詳細な分析ができない
- コンテンツごとの“どこで離脱したか”までは把握できない
そこでGoogle Tag Manager(GTM)を使い、25%・50%・75%・100%といった中間ポイントでイベントを送信する方法が一般的です。
ただし、この場合も「どの段落で離脱したか」までは分かりません。
スクロールデータをどう活用するか?
スクロールデータから得られるインサイトは、以下のようなものです。
- 「記事の前半で多くのユーザーが離脱している」 → 導入文の改善
- 「最後まで読まれている記事が多い」 → コンバージョン導線を追加する価値がある
- 「商品説明ページで途中離脱が多い」 → 情報量が多すぎる可能性
ただしGA4では「イベント数の集計」止まりで、実際にユーザーがどの位置で迷ったかまでは分かりません。
実務的な答え:Microsoft Clarityを使う
筆者の結論はシンプルです。
「GA4で無理やりスクロール計測をするより、Microsoft Clarityを導入した方がいい」ということです。
Microsoft Clarityを使うと、以下のような強力な機能が無料で利用できます。
- ヒートマップ: ページのどこまでスクロールされたかを可視化
- クリックマップ: どの要素がクリックされているかを視覚的に確認
- セッションリプレイ: 実際のユーザー行動を録画のように再生
- フィルタリング: 特定のデバイスや流入元に絞って行動を分析
GA4では「数値」だけですが、Clarityでは視覚的に理解できるデータを得られるため、改善施策に直結しやすいのです。
GA4とClarityを組み合わせる
もちろんGA4を捨てる必要はありません。
GA4では「どの記事で滞在時間が短いか」を特定し、Clarityで「なぜ離脱しているのか」を深掘りする。
この二段構えの分析こそが、実務で最も効率的です。
まとめ
スクロール計測はユーザー行動を理解する基本的な指標ですが、GA4単体では活用しづらいのが実情です。
そのため、GA4で全体傾向をつかみ、Microsoft Clarityで具体的な行動を可視化することをおすすめします。
無理にGA4で複雑な設定をするよりも、実務ではClarityの導入が最も効率的で効果的な答えになります。