なぜUIは改善されないのか?制作者と利用者のギャップ

2025年 9月11日

Webサイトやアプリを使っていて「どうしてこんなに使いにくいまま放置されているの?」と感じたことはありませんか。 クリックしづらいボタン、わかりにくいナビゲーション、入力に手間のかかるフォーム……。 明らかに改善できそうなのに、そのままになっているUIは少なくありません。 本記事では、なぜUIが改善されにくいのか、その背景にある「制作者と利用者のギャップ」を解説します。

原因1:制作者の慣れ

制作者は自分が作ったUIを日常的に見ているため、使いにくさに気づきにくくなります。 いわゆる「職業的な慣れ」により、一般ユーザーが抱える「初めて触ったときの戸惑い」を想像できなくなってしまうのです。 その結果、ユーザーからすれば明らかに不便なUIでも「特に問題はない」と判断されてしまいます。

原因2:コストや優先順位の問題

UI改善は重要と分かっていても、開発現場では「新機能追加」や「納期遵守」が優先されがちです。 既存のUIの改善は売上に直結しにくいため、どうしても後回しにされます。 経営層やマネジメントが「ユーザー体験の価値」を十分に理解していない場合、改善にリソースが割かれないのです。

原因3:ユーザーの声が届かない

ユーザーは日常的に「使いにくい」と感じても、それをわざわざフィードバックする人は多くありません。 結果として、制作者の元に不満の声が届かず、「問題が存在しない」と誤解されることがあります。 本来はユーザーテストやアンケート、アクセス解析を通じて声を拾う必要がありますが、それが十分に行われていないケースが目立ちます。

原因4:組織的なサイロ化

UIを担当するデザイナー、開発を担うエンジニア、方針を決める経営層が分断されていると、改善が進みにくくなります。 部署間での責任の押し付け合いやコミュニケーション不足により、UI改善の優先度が低くなってしまうのです。

解決の方向性

UIを改善するには、制作者と利用者のギャップを埋める仕組みが必要です。 具体的には以下のような取り組みが有効です。

  • ユーザーテストを定期的に行い、実際の利用シーンを観察する。
  • アクセス解析やヒートマップを活用し、利用実態を数値で把握する。
  • ユーザーからのフィードバックを収集・共有する仕組みを整備する。
  • 経営層にUXの重要性を伝え、改善への投資を正当化する。

制作者の感覚だけに頼らず、ユーザーの体験を客観的に把握することで、初めて「改善すべきUI」が明確になります。

まとめ

UIが改善されない背景には、制作者の慣れ、コストや優先順位の問題、ユーザーの声が届かない仕組み、組織の分断といった要因があります。 これらを乗り越えるには、ユーザーの視点を継続的に取り入れる仕組みが欠かせません。

RARE TEKTでは、ユーザーテストやデータ分析を通じて「制作者と利用者のギャップ」を埋める支援を行っています。 UX改善の第一歩は「ユーザーがどう感じているか」を知ることから始まります。

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