データレイヤーってどこに置くの?GA4で計測漏れ・重複を防ぐ方法
2025年 9月 2日
Google Analytics 4(GA4)を導入する際に必ず出てくる疑問が「データレイヤーをどこに置けばよいのか」という問題です。 サンクスページだけに書けばいいのか、すべてのページに埋め込むべきか、あるいはGTMで完結させるのか――初心者から実務担当者まで悩みは尽きません。 実は、これはサイト規模や運用体制によって最適解が変わります。 本記事では短期的に導入する場合と、長期的に基盤を整える場合に分けて考え、さらに実装時の注意点を解説します。
短期・小規模サイトの場合:GTMで設定
サイト規模が小さく、マーケティング担当が主導で計測を進めるケースでは、Googleタグマネージャー(GTM)の標準機能で設定するのが最も効率的です。 GA4には自動計測機能(拡張計測機能)があり、クリック、外部リンク遷移、ファイルダウンロード、スクロール、フォーム送信など、基本的な行動イベントはGTMで簡単に取得できます。
特に立ち上げ初期やリソースが限られている場合は、まずGTMで自動計測を有効化し、必要に応じてカスタムイベントを追加するだけで十分です。 「とにかく早く可視化したい」という目的であれば、これがもっとも現実的な選択肢です。
長期・大規模サイトの場合:dataLayer.push()で整理
一方で、広告運用やBIツールとの連携など、多数のツールを展開する予定がある場合は、データレイヤーを明示的に設計する方が将来的に有利です。 ページ遷移やコンバージョンイベントが複雑になるほど、GTMの自動計測だけでは管理が煩雑になりやすく、後から修正コストが増大します。
そこで役立つのが dataLayer.push()
です。ページ側でイベントや属性を明確に渡すことで、GTMやGA4側での処理が整理され、拡張性が高まります。 例えば「購入完了」「会員登録完了」といったCVイベントをページから直接プッシュすれば、ツール間でデータの一貫性を保ちやすくなります。
重複計測を防ぐための注意点
dataLayerを使う場合に注意したいのが「重複計測」です。 サンクスページが再表示されたときに同じコンバージョンイベントが複数回送信されると、レポートが大きく歪んでしまいます。
これを防ぐにはセッションやトランザクションIDを用いた管理が有効です。 例えば一度送信したイベントにはフラグを立て、同じセッション中は再度送信しない仕組みを作る、といった運用が必要になります。 少し手間はかかりますが、長期的に正確なデータを蓄積するためには欠かせません。
GA4推奨イベント仕様に従う
どちらのアプローチを選ぶにしても、最終的にはGA4が公式に推奨しているイベント仕様に準拠することが重要です。 Googleが提供している推奨イベント一覧に従って実装することで、標準レポートや将来的な機能追加との親和性が高まります。
「サイト規模や運用体制に応じた実装方法を選びつつ、最終的にはGA4の推奨イベントで統一する」というのが、漏れや重複を防ぎながら長期的に使える計測基盤を作る最適解です。
まとめ
データレイヤーをどこに置くべきかは、サイトの規模と運用体制によって答えが変わります。 短期・小規模でマーケティング主導ならGTMの自動計測で十分。 長期・大規模で広告やBIと連携するなら、dataLayer.push()
で基盤を整える方が後で楽になります。 その際は重複計測を避ける工夫を行い、GA4の推奨イベント仕様に従って実装することが欠かせません。
RARE TEKTのコラムでは、このように計測の基本から実践的な運用方法まで解説しています。 計測設計や実装に関するご相談は、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。